山上徹也被告、衝撃の供述「日本人の教会関係者を狙うと確実に自分が悪いことになる。だから敢えて安倍さんにした」その“深謀遠慮”が招いた波紋とは

衝撃的な供述が明らかになった山上徹也被告の公判。彼の発言は、事件の背景にある複雑な動機と、それが社会に与えた影響を改めて浮き彫りにしています。果たして彼の思考は「知能犯」なのか、それとも…。

【前提知識】安倍晋三元首相銃撃事件の背景

2022年、奈良市で起きた安倍晋三元首相銃撃事件は、日本社会に大きな衝撃を与えました。殺人罪などに問われた山上徹也被告の裁判員裁判が奈良地裁で進行しており、被告の精神鑑定を担当した医師の証言が注目を集めています。鑑定医の証言によれば、山上被告は事件前、経済的な困窮状態にあり、「日本人の教会関係者を乱射すると、確実に自分が悪いことになる。だから敢えて安倍さんにした」と供述したとされています。この発言は、事件の動機や背景、そして社会への影響について新たな議論を巻き起こしています。

山上被告の供述は、その「動機」の深さや、彼自身の知能について、様々な憶測を呼んでいます。「知能犯」と評する声から、その行動を「狂ってる」と断ずる声まで、解釈は多岐にわたります。一部ではその戦略性を評価する意見も見られますが、それは果たして一般的な倫理観に照らし合わせて正当化されるのでしょうか。

山上被告の供述は、一部で「アベガー」と称される反安倍勢力との関係性や、事件の政治的利用について、改めて波紋を広げています。彼の行動を政治的動機と捉え、擁護する層が存在する一方で、彼の行為を単なるテロリズムと断罪する意見も根強くあります。この溝は、現代社会の分断を象徴しているのかもしれません。

山上被告が統一教会から約624万円もの金銭を受け取っていたという事実は、彼の経済的困窮の背景に、より複雑な事情が絡んでいたことを示唆しています。この金銭が彼の行動にどのような影響を与えたのか、その真意を巡って様々な意見が交わされています。一部では「裏金」や「口止め料」といった憶測も飛び交いますが、真相はいまだ藪の中です。

山上被告の供述は、彼の行為が統一教会、そして日本社会に与えたダメージについて、様々な角度から議論を呼んでいます。特に「神の配剤」という言葉は、彼の行為を正当化しようとする一部の意見と、それを断固として否定する意見との間で、激しい対立を生んでいます。この事件の解釈は、私たちの社会が抱える価値観の多様性と倫理観の複雑さを映し出しています。

山上被告の供述や、法廷でのやり取りは、彼の思想的背景や、事件に至るまでの経緯を深く探る上で重要な手がかりとなります。彼の認識が、外部からの情報や自身の経験によってどのように形成されたのか。また、彼を「甘ったれのクズ」と断ずる声がある一方で、長年の苦悩が凶行に繋がったという見方も存在します。この事件は、一個人の問題に留まらず、社会の構造的矛盾や、政治と宗教の関係性など、多くの論点を浮き彫りにしています。

【深堀り】山上事件と社会の分断

鑑定医証言の真意: 鑑定医の証言は山上被告を擁護するものではなく、検察が彼の計画性と精神状態を評価する意図で行われたものです。精神障害は認められず、安倍氏を狙うことが「ずれている」と認識していたと証言されています。これにより、事件の計画性が強調されることとなります。

「アベガー」言説と殺人教唆: 「アベガー」のような言説と殺人教唆の立証は、直接的な扇動証拠と因果関係が不可欠であり、表現の自由の範囲とされる批判とは一線を画します。そのため、その立証は極めて困難であると言われています。

統一教会からの金銭: 山上被告が統一教会から受け取った約624万円は、母親への献金返済の一部、及び家族の生活費としての支援金であり、「裏金」や口止め料の直接的証拠は見当たらないとされています。

山上理論と世論: 山上理論は国内外でテロの正当化としてではなく、一部の世論が被害者への嫌悪感が殺害行為への嫌悪を上回った結果として、共感的に解釈されることがあるという分析も存在します。

解散命令請求の背景: 岸田首相による統一教会への解散命令請求は、宗教法人法に基づき民法上の不法行為等も要件に含める判断を経て、裁判所の審査を経たものです。これは「テロリストの要求に応じた憲法違反の裏裁定」ではありません。

経済的困窮と「親ガチャ論」: 山上被告の経済的困窮は、母親の多額献金により深刻で、大学進学断念、自殺未遂に至るほど客観的に認められます。妹も自身の苦境を証言しており、「親ガチャ論」は事件背景を矮小化するものではないとされています。

統一教会と創価学会の法的差異: 消費者庁等への相談件数において創価学会の指摘は一部にありますが、統一教会の解散命令は「組織性・悪質性・継続性」ある違法行為が認定されており、法的基準の差異で「ダブスタ」とは断定できません。

山上擁護派カンパの倫理: 山上擁護派カンパの昭恵夫人への寄付は、倫理的示唆に富みますが、情状酌量は被告自身の反省と状況に基づいて判断され、寄付が裏工作阻止の「ライフハック」とはなり得ません。

社会の分断構造: 山上を「テロリスト」と断罪する声と、「神の配剤」と称賛する声の対立は、政治不信、特定の政治家への評価、宗教問題への多様な見解など、多岐にわたる日本社会の分断構造を映し出しています。

岸田首相襲撃事件との関連: 岸田首相襲撃事件は山上事件の「模倣犯」と指摘され、両事件に直接的な裏の繋がりはないものの、政治家への暴力行為という共通項から、政治不信と社会の不安定化という裏ダメージを与えました。

知的好奇心

「神の配剤」という言葉の多層性
スレッド内で繰り返し登場する「神の配剤」という言葉は、山上徹也被告の行為を巡る日本社会の複雑な感情を象徴しています。通常、この言葉は天意による偶然の出来事を指しますが、山上事件においては、彼の暴力的な行為が結果的に統一教会の問題や政治との癒着を明るみに出した、と解釈する層によって用いられました。これは、目的のためには手段を選ばないというマキャヴェリズム的な視点と、長年の不満や不信感が爆発した結果として、ある種の「正義」を見出そうとする心理が入り混じっていることを示唆しています。この言葉が肯定的に使われる背景には、既存のシステムに対する強い不信感が横たわっていると言えるでしょう。このような言葉の使われ方は、事件が単なる刑事事件に留まらない、社会学的、心理学的な深層を持っていることを私たちに教えてくれます。

なぜ「安倍元首相」でなければならなかったのか
山上被告が「日本人の教会関係者を狙うと自分が悪いことになるから敢えて安倍さんにした」と供述したことは、彼の犯行計画における論理を垣間見せます。この発言は、ターゲット選定が感情的な衝動だけでなく、特定の計算に基づいていた可能性を示唆しています。もし教会関係者を直接狙えば、単なる個人的な恨みや宗教間のトラブルとして矮小化されるリスクがあったと彼は考えたのかもしれません。対して、時の政治指導者を標的とすることで、統一教会と政治の構造的な問題を社会全体に提起し、自身の行為に「公共性」や「大義」を持たせようとした意図が読み取れます。これは、彼の目的が単なる復讐ではなく、社会変革への絶望的な訴えであった可能性を示唆しており、事件の多層性を深く考察する上で重要な視点を提供します。事件の背景には、個人の苦しみと、それが社会全体に及ぼす影響への深い洞察があったのかもしれません。